小悪魔男子
「んッ!」
チクリとした痛みが首筋に走る。
「…これでしばらくは大丈夫かな」
やけに満足そうな大和。あたしだって何をされたかぐらいわかる。
「あのね、明日みんなになんて説明すれば良いのよ…。ってか、なんでキスマークの付け方を小学生が知ってるのよ」
「もちろんエロビデ…」
バシッ!
「言うなッ!!」
怒り狂ったあたしはスタスタと家の中に入って行った。
「さなちゃんが聞いてきたんじゃ~ん!」
と言う大和の声を聞きながら。
「ただいま~」
「おかえり~。ずいぶん遅かったのね?」
うちの家はリビングに階段があって、どうしてもここを通らないと部屋には行けないシステム(?)になってる。
親からしてみればいいかもしれないけど、あたしにとってはちょっと気まずいのにって思う。特にこういう事があった日なんかには。
「うん。ゆっくり歩いてきたから」
逃げるように階段を上るけど、こういう時に限って引き止められるんだよな~。
「そういえば傘持ってなかったわよね?誰と帰ってきたの?まさか…彼ができたのッ!?」
「あのね…」
なぜか恋の話になると興奮するゆいかちゃん(母)。
うんざりして”大和と帰ってきた”と言おうとしたあたしは、お母さんの方を向いてしまった。