小悪魔男子



そのとたん、空気が張り詰める。なんだか分からない汗がじわっと滲むのがわかった。


「あ…あのね、これは…」


なんて言い訳すれば良いのか分からなかったけど、説明する前にお母さんから口を開いた。


「…さな?




いいのよ、何にも言わなくて。

そう…。うちの娘もそんな年頃になったのねぇ~」


一人で腕を組み、納得しているゆいちゃん。


「お母さん…だからこれは…」


「お父さんには内緒にしててあげる。聞いたらショックで倒れちゃうものね!絆創膏か何かで隠しなさいね~ホホホ…」


あたしが何か説明する前に、踊るようにキッチンへと歩いて行ってしまった。



ホホホ…じゃないっての!!


もうこうなったらしょうがないので、黙って部屋に向かった。



ベットに鞄を置き、クローゼットに付いている鏡で首元を見ると、一部だけほんのりとピンク色に染まっている個所がある。


「全く…悩むのはいつもあたしだけなんだから…」


文句を言いながら絆創膏を張り付けた。



そして倒れるようにベットへ寝ころぶ。






< 48 / 346 >

この作品をシェア

pagetop