小悪魔男子



「おっはよ♪」


「あら、さなァ!早いじゃない!!どうしたのよ?」


あたしたちの中で一番早く来ていた薫ちゃんに挨拶をすると、本当に驚いた顔をされた。早く来ちゃ悪いのか?


「…別に早く起こされただけだよ」


「……今日傘持ってこなかったわ…」


何ですか?雨が降るとでも言いたいの?



「失礼な!!」


「ヲホホ…。

それより、今日は珍しく完全フル装備なのね?可愛いわよ~!!」



「ありがと。薫ちゃんもキマッてるよ」



”完全フル装備”。それは薫ちゃんが言う、メイクとヘアーを完璧にしてるって意味の言葉。


「ン?なんでかって?

そりゃ~、オンナはメイクで身を守ってるの。その、鎧にも匹敵する鋼のような仮面で男と勝負するんだから、フル装備じゃない!

ほら、あたしがいいお手本よ!!!」



…と、前に言っていたことがある。



薫ちゃんは言う事がいちいち道理に適ってるような言い回しをして無理やり丸め込むのが得意なんだ。


オカマちゃんは世渡り上手なんだってよくわかる。






< 97 / 346 >

この作品をシェア

pagetop