薔薇姫-another story-
メイ様は両手で両耳を塞ぎ、精一杯首を横に振る。
「ダメッ!絶対ダメッ!! 恥ずかしがるなってほうが無理っ」
レオ様はため息をつき、「はいはい」と言ってから私を見た。
―――紅い瞳。
メイ様のもつ蒼い瞳に比べたら、紅い瞳は珍しくはない。
けれど、レオ様の紅い瞳は…他の貴族とは、どこか違っていて。
メイ様のような、強く、そして優しい力を宿している気がした。
「…ロゼ」
「はい」
名を呼ばれ、私は思わず姿勢を正す。
マオ様の後を継いだレオ様は、魔王としての気品を備えつつあった。
レオ様は苦笑し、口を開く。
「構える必要なんかない。"好き"なんか、人それぞれだ」
そしてすぐに、私の胸を優しく叩く。
「心が"好き"って叫んだら、それが"好き"だ。自分の気持ちに正直になればいい」
レオ様に叩かれた胸の辺りに、私はそっと片手を添える。