薔薇姫-another story-
そこには、複雑な表情を浮かべたメイ様がいて、じっと私を見ていた。
「…ロゼは、それでいいの?」
どくん、と嫌な音を立てる心臓を無視し、私は冷静を装った。
「…私は構いません。マレッタ様のご意思ですから」
「マレッタの意思?」
メイ様の眉が、ピクリと動いた。
「ロゼは、マレッタが結婚したいからするって思ってるの?」
「それは―――…」
私は、そこで口ごもる。
マレッタ様は、私以外には心を向けないと言っていた。
けれど、婚約をするというのも事実。
嫌なら、いくらだって断れたはず―――…。
「あのね、」
メイ様の声で、私は現実に連れ戻された。
「マレッタは、家の為に結婚するの。そこに、マレッタの意思はないの!」
今にでも泣き出しそうな顔で、メイ様はそう言った。
…家の、為…?