薔薇姫-another story-

そこには、複雑な表情を浮かべたメイ様がいて、じっと私を見ていた。


「…ロゼは、それでいいの?」


どくん、と嫌な音を立てる心臓を無視し、私は冷静を装った。


「…私は構いません。マレッタ様のご意思ですから」


「マレッタの意思?」


メイ様の眉が、ピクリと動いた。


「ロゼは、マレッタが結婚したいからするって思ってるの?」


「それは―――…」


私は、そこで口ごもる。


マレッタ様は、私以外には心を向けないと言っていた。



けれど、婚約をするというのも事実。


嫌なら、いくらだって断れたはず―――…。


「あのね、」


メイ様の声で、私は現実に連れ戻された。


「マレッタは、家の為に結婚するの。そこに、マレッタの意思はないの!」


今にでも泣き出しそうな顔で、メイ様はそう言った。


…家の、為…?



< 31 / 56 >

この作品をシェア

pagetop