薔薇姫-another story-
長い廊下を駆ける私は、徐々に近づいて来るその姿を見て、足を止めた。
「レオ…様…」
弾む息を整えながら、私は腕を組んでいるレオ様を見た。
レオ様は私の姿を見るなり、ふっと笑った。
「ロゼのそんな慌てた顔、久しぶりに見たな」
「…え?」
急にそのようなことを言われ、私は眉をひそめた。
「常に冷静沈着。そんなロゼを、ここまで変えたのは誰だ?」
にやり、とレオ様は笑顔を私に向けた。
私が何かを答える前に、レオ様が片手をスッと挙げる。
「任せろ、ロゼ。俺が今すぐ送ってやるよ」
「レオ様…」
レオ様は、何もかもお見通しらしい。
私は何故か可笑しくなって、笑みを零し…頷いた。
「はい。…お願いします」
レオ様は「了解」と言ってまた笑うと、魔術を唱え始めた。
私は光に包まれ―――闇に溶けた。