薔薇姫-another story-
*****
瞑っていた瞼を持ち上げると、私はマレッタ様の家の目の前にいた。
レオ様の城までとはいかないまでも、立派な家であることは間違いない。
私はすぐに、正門から中へ入ろうとした。
―――しかし。
「お待ちください」
門番らしき人物に声を掛けられ、私は仕方なく立ち止まった。
「…ロゼリナータと申します。マレッタ様は…」
「マレッタお嬢様は、只今大切なお話をされている最中ですので…どうかお引き取り願います」
大切な…話?
門番の言葉に、私は眉をひそめた。
「それは…婚約に関しての話ですか」
私の質問に、門番は「えっ?」と声を上げた。
「何故そのことを…もしや、先方の関係者の方ですか?」
何を勘違いしたのか、門番は私をマレッタ様の相手の関係者だと思ったらしい。
だが、これは私にとっては都合のいい勘違いだった。