薔薇姫-another story-
そして、すかさずため息。
「…ロゼ…お前なぁ…」
「はい」
「…や、何でもねぇ」
更にもう一度ため息をつくと、レオ様は首を横に振った。
………何だ?
変なことを言ったつもりはない。
けれどレオ様は、呆れたような顔で私を見ている。
「鈍感っつーか…何つーか…」
鈍感?
一体、何に?
「レオ様、はっきりと仰って下さい」
私がそう言うと、レオ様は困ったように頭を掻いた。
「…だからさ、ロゼ。お前が気づかなきゃ意味ねぇんだよ」
私が眉をひそめると、レオ様は続けた。
「よく、周りを見てみろ。俺が言えんのは、これだけだ」
私の肩に手を乗せると、レオ様はそのまま去って行った。
―――周りを?
一人その場に取り残された私は、レオ様の言葉の意味を、暫く考えていた。