薔薇姫-another story-

*****


レオ様に"周りをよく見ろ"と言われてから、私は注意深く周りを観察した。


―――けれど。


特に変わることのない毎日が過ぎていく。



何が違う?


そう自分に問いかけても、返事はいつも同じ。



―――"わからない"。



何かモヤモヤとしたものが、私の心に広がった。


そんなある日。



「ロ―――ゼ―――ッ!!」



ドタバタと、騒がしい音を立てながら、駆け寄って来る人物。


「…メイ様?」


蒼い瞳を持った…人間。


そして、レオ様の婚約者である、メイ様だった。



メイ様は息を切らしながら、私の目の前で立ち止まった。


「…マレッタ、知らない!?」


呼吸を整えながら、真剣な面持ちで私に訊ねるメイ様。


そんなメイ様に、私は眉根を寄せた。


「…見かけてませんが…。何故私に?」


瞬間、メイ様は肩を落とした。



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