薔薇姫-another story-
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レオ様に"周りをよく見ろ"と言われてから、私は注意深く周りを観察した。
―――けれど。
特に変わることのない毎日が過ぎていく。
何が違う?
そう自分に問いかけても、返事はいつも同じ。
―――"わからない"。
何かモヤモヤとしたものが、私の心に広がった。
そんなある日。
「ロ―――ゼ―――ッ!!」
ドタバタと、騒がしい音を立てながら、駆け寄って来る人物。
「…メイ様?」
蒼い瞳を持った…人間。
そして、レオ様の婚約者である、メイ様だった。
メイ様は息を切らしながら、私の目の前で立ち止まった。
「…マレッタ、知らない!?」
呼吸を整えながら、真剣な面持ちで私に訊ねるメイ様。
そんなメイ様に、私は眉根を寄せた。
「…見かけてませんが…。何故私に?」
瞬間、メイ様は肩を落とした。