薔薇姫-another story-
「あー…。知らないかぁ…。もしかしたら、って思ったのに」
次いで、舌打ちをしたメイ様。
メイ様は魔界に来られて、次第にたくましくなっていくような気がするのは、私だけだろうか。
「メイ様、マレッタ様がどうかなさったのですか?」
メイ様は私に視線を向け、苦笑した。
「んー。ちょっと話してたら、いきなり部屋飛び出しちゃって」
あはは、と頭を掻くメイ様に、より眉間に皺を刻み込む私。
「…何を仰ったのですか」
「怒らせたわけじゃないよ!? …ちょっとね、うん」
明らかに目を泳がせながら、意味もなく「うんうん」と頷くメイ様を、私は不思議に思った。
「…それで…、何故私のところに?」
最大の疑問は、ここだ。
レオ様なら見かけているかもしれないのに、何故わざわざ私のところへ?
澄んだ蒼い瞳が、私を捉えた。