ふたつの指輪
「何時から?」

「お昼から。お昼ご飯が出るの」

「喫茶店って、どこの喫茶店?」

「K駅のすぐ近く」


「……あとで車で送ってやる」

「え?」


あたしには、車で送ってもらう文化がそもそもない。


家にも車ないし、魁人くんも車持ってないし。



送ってもらう、なんて何だかくすぐったいな……



っていうか、もしかして、疑われてる?



「あたし、一人で行けるよ?

……フーゾクのバイトには、行かないよ?」


「誰もそんなこと疑ってねぇって」


フッと笑うと、コーヒーを一口飲んだ。


「遠慮すんな。送ってやるから」
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