ふたつの指輪
(魁人くん、今頃どうしてるかな)


貴公子然とした笑顔が脳裏をかすめた。


(……?)


なぜか、魁人くんの王子様みたいな笑顔が、紙っぺらみたいに感じた。


(なんだ?今の)







あたしがシャワーから出ると、続けて尊さんが入る。


しばらくして出てきた尊さんは、ふとあたしの顔に目をとめた。



「ん?どうした」


よっぽどブルーな顔してたに違いない。



「いやあの……ちょっと、昨夜のママのこと思い出しちゃって」

「……何か言ってた?」

「そんな子に育てた覚えはないとか、何させてもダメな子だとか」

「……ああ」


尊さんは、眉を寄せて難しい顔をして、顎に手を当てた。


「あとは、ママが、あたしがいないと死んじゃうかもしれないって」
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