ふたつの指輪
「終わったぁっ」


バイトが終わった充実感で、あたしは元気に車に飛び込んだ。

言われる前にシートベルトをする。


「なんだ、ずいぶんゴキゲンだな」

「バイト代入ったの」

「そうか」


尊さんは、ハンドルを握って前を向いたまま、軽くうなずいた。



「メシ食ったか?」

「ううん」

「腹減ってるだろ」

「すっごくお腹減った!」

「なんか食いに行くか」

「うん!」

「なんか食べたいものあるか?」

「うーん、……餃子!」

「了解」



二つ返事で、車をぎゅーんとUターンさせる。


当たり前のように、二人でご飯を食べに行く。



人間って不思議だね。

この人と二人でいることに、もうすっかり慣れてるよ。
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