ふたつの指輪
「だから、自分が人に愛されるに足る人間だって、思えねぇんだよ。

嫌われるんじゃないかって、心が開けないのもきっとそのせいだ」




(あ……)




(ああ……)





(あああ……)





めりめり……



音を立てて、あたしの心の鎧がはがされていく。




(いつか、俺の言ってることがわかる日が来るから)



「ああ………」



過去のさまざまなシーンが走馬燈のように頭の中を一気に駆け抜けて。


幼い頃の苦しみ、寂しさ、ごまかし――


あらゆることがフラッシュバックして。



(ママだって、同じことしてるじゃない)


(さっきとは、言ってることが違うよ)


(あたしは悪くないのに――)


(どうしてあたしの夢をそんなにバカにするの?)


(あたしの言い分も聞いてよ!)



あたしの中で慎重にフタをされていた、ママへの怒り、恨みが怒濤のように押し寄せた。
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