ふたつの指輪
「……うん。そうだよね……。

いいの、ダメもとで聞いただけだから」

「ごめんね」


あたしが肩をすくめると。

魁人くんはニコッと笑う。

王子様みたいな笑顔で。




二人の間にふっと沈黙が落ちて。

二人で何となく窓の外の青空を眺める。


空は雲一つなく、抜けるように青く、どこまでも続いてた。


なんだかせつないほど、美しかった。



じっと見ていると、心まで透明に澄んでいくような気さえした。



一緒にどこか遠い目で青空を眺めていた魁人くんは、ふとつぶやくように言った。


「そっか……。

それならさ……。


ねぇ、瞳衣。

いっそのこと、オレと一緒にどこか遠くへ……」


「え?何?」


ウエイトレスさんがお皿を下げる音で、聞こえなかったよ。
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