ふたつの指輪
「ホストはもうやめるよ。

何かちゃんとした仕事について……


一緒に暮らそう」


耳元でささやく、思い詰めたような声。



あたしは驚いて、魁人くんの顔を見上げた。



「……魁人くん……本気で言ってるの?」


「本気に決まってる」



信じたい気持ちがむくむくとあたしの中に持ち上がってくる。


ねぇ……信じて……いいの?



「もうオレ、開き直った。

ホストが女に惚れて、何が悪い」



そのひどく整った顔には、ふっきれたような明るい笑みが広がってた。
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