ふたつの指輪
テーブルにマグカップを置く瞳衣の指に、きらきら指輪が光っていた。

ちょっと大きめの、派手な指輪。

あいつが瞳衣に最初に贈った指輪だ。



俺は、ポケットに手を突っ込んだ。


「そうだ。これ、渡しとく」

「え?何?」


俺が差し出した小さな箱を華奢な手に取って。


「え、何だろ、開けていい?」

「ああ」


出てきた小さな指輪に、瞳衣は大きく息を吸い込んだ。


「指輪?」

「趣味が違うとか言うなよ」

「そんなこと言わないってば」


むくれる顔が、以前のままだ。
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