ふたつの指輪
「ちょっと渡す順番おかしいかもしれないけど……


俺と一から、付き合ってくれないかってこと」



瞳衣は、よっぽど予想外だったのか、しばらくぽかんと口を開いて俺を見てた。


「え…うそ……」

「……なんだよ、そんなに驚くなよ」

「だって、驚くよ」

「一緒に住んでたことだってあるだろ。

たった10日間だけど」


瞳の大きな目は、指輪と俺を行ったり来たりした。


「それはそうだけど、でも……ダメよ、こんなの。

あたし、受け取れない」


箱を押し返そうとする瞳衣に、俺はすばやく言った。


「返すなよ、俺の指には入らないからな」

「え?」


瞳衣は俺の返答に一瞬目を丸くしたが、突然ぷっと吹き出した。
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