私の夢と、彼の事情
「佐奈、帰っていたのか」


次に聞こえたのは、父の声。

私と彼の緊張が、その時一気に高まる。


「うん、今さっき帰って来た」


入院室からひょっこり顔を出した父親は、
休みの日なのに白衣を着ていた。

そして、私の腕に抱かれている猫をみる
と、瞳をすっと細めた。

「・・その子か? 佐奈が飼いたいって
 言っていたのは」

「う、うん。

 どう? 可愛いでしょ?」
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