a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
その日一日、慶一を一目見ようとする生徒で、職員室は混んでいた。
本当に急ぎの用があって職員室を訪れる者にとってはかなり迷惑な話である。
その生徒のうちの誰かが、デカイ声で叫ぶように尋ねた。
「センセー!今は誰が見てんの?」
「誰だったかな……あぁ、保健室行け、保健室」
「あっざーす!皆、保健室だってさ!」
騒がしかった職員室に静けさが戻り、それを他人事のように見ていた楡は、ふぅと溜息を吐いた。
もしかしたらかなり迷惑だったのでは、と今更ながら慶一を連れてきたことを後悔しているが、本当に今更だと思った。
皆、真剣に慶一を見てくれるので、楡は柄にも無く人間ってすげーな、と思ってしまった。
「楡先生」
「………はい」
不意に、背中から声を掛けられたので、頬杖をついた手を机に置き、怠慢な動きで振り向いた。
「慶一くんのお母さん、見つかるといいですね」
「……………」
声を掛けてきたのは、殆ど接点が無かった、角刈りが特徴である体育教師の菊枝《キクエ》だった。
驚いてしばらくきょとんとしてしまうが、やがて楡はふっと穏やかに目を細めた。
「……そうですね……」