a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
楡は続ける。
「あの事件は一見無計画な強盗殺人事件に見せ掛けた、計画的な殺人だった。アンタと、もう一人……鑑識の吉成隆さんの」
楡は其処まで言うと、茶色の分厚い封筒を取り出した。
「知り合いの刑事さんに調べてもらってね。関連性の無さそうな花村ご夫婦とアンタたちの関係が出てた」
数枚の紙をパラパラとめくりながら、楡は呟くように言う。
「学生時代、花村夫婦の旦那の方に、苛め受けてたんだってな。アンタ。そして、それを陰ながら支えてくれてた吉成さんも、巻き込む形になった。目立つ方じゃなかったっていうし、恰好の餌食だったろうな」
「…………」
饒舌だった井野坂は黙ったまま俯いている。
この沈黙は肯定と受け取っていいらしい。
「アンタは仕返しがしたかったんだろ? だから幸せの絶頂だった彼らを殺し、敢えて基を殺さないことでその子供にも苦しみを味わわせようとした」
井野坂は悔しそうに唇を噛み、楡を睨み付けた。
楡は無表情のままだ。
「殺害の痕跡を鑑識である吉成さんが予め処分し、証拠を完全に消し去った後、わざと基に目撃させることで、彼の悔しさや悲しみを最大限に引き出そうとした。そうだな?」
「…………………あぁ」
力なく、井野坂は頷いた。