a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
無差別な強盗殺人を装い、完璧に、犯人を悟られないように花村を殺すため、井野坂と吉成は入念に計画を練った。
鑑識である吉成が、仕事をするフリをしながら井野坂の痕跡を消し去るという、巧妙な手口を使い、目撃証言から容疑者にはされたものの、証拠不十分ですぐに釈放された。
勿論、花村の妻を殺したのは、花村を絶望させ、ドン底の状態で死に追いやりたかったからだ。
「こうして二年も経って…すっかり忘れられたかと思ってたよ」
井野坂は自嘲気味に呟く。
楡は軽く首を横に振った。
「忘れないさ。…花村さんの息子…基は、二年間、心に深い傷を負って生きていた。
今のアンタ等みたいに、復讐で頭が一杯だった。」
「………」
井野坂は背の高い楡を見上げた。
楡は基の辛そうな表情を思い浮かべながら、言葉を紡ぐ。
「アンタ等は、たった14歳の子供の手を、汚させようとしてたんだよ。見なくても良い闇を、見せるところだったんだ」
あんな華奢な少年に、銀色に光るナイフなど、似合わないだろうに。