a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



だからかもしれない。

彼らが、沚の精神安定剤だったからかもしれない。


学校から帰った時に、赤く染まったリビングと、鉄臭い液体に沈んだ二人を見た時に、沚の瞳は、心は、何も映さなくなった。


彼らがどうなったかが分からないほど、沚は子供ではなかった。

中学校にも慣れ始めた頃だ。


二人は物取りに襲われたらしい。

警察は言った。

犯人が目撃者を消すために、二人を殺したのだろうと言った。


心には穴が開いたみたいなのに、沚はひどく落ち着いていた。


涙は出なかった。

死顔を見ても、小さな箱になった両親を見ても、沚の瞳は乾いたままだった。

何も考えられなかった。

ただ一つだけ、ただ一つだけ頭の片隅にあったのは、






警察よりも先に犯人を見付けだして、復讐してやろうという気持ちだけだった。





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