a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
打ち上げられていく花火の音を聞きながら、愛海は美帆子の隣でただ涙を流した。
細かく判別は出来ないが、色とりどりの光が夜空に瞬いている。
涙でより一層霞む視界。
それでも、愛海の心には大輪が咲いている。
「っ、美帆子ッ、ありがと……ありがとね……!」
花火の音でかき消されるほど小さな声で、愛海は感謝の気持ちを告げる。美帆子は車椅子に座る愛海に視線を合わせるためか、その場にしゃがんだ。
「ううん。お礼は明衣やaucの皆に言わなきゃ。それからさ」
指先で愛海の頬を濡らす涙を拭いながら、美帆子は優しい声色で続ける。
「アメリカでの手術が終わって…ちゃんと目が見えるようになったら、今度こそちゃんと花火見よう」
「うん……」
「aucの皆も誘って、あと吹部も呼んで良い?」
「っ、うん………」
「夏だもん、浴衣着ようね」
「……うん…!」
はらはらと零れる涙は、愛海のコートに小さく染みを作っていった。