a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
「やっだ、いつの間にそんなに仲良くなっちゃったの?」
「え?」
合流した本郷の言葉で、明衣は我に返っていた。
何のことか判らずニヤつく本郷の視線の先を辿れば、しっかりと明衣の小さな手に握られている楡の骨張った手。
「えΣ!!うわっ////」
「………」
慌てて楡の手を振りほどく明衣に、本郷は至極楽しそうに笑った。
「親子みたいだったよ」
その後ろでやはり笑いながら、五月女が楽しそうに付け加える。
──親子みたいだったよ
何故か胸の奥に穴が開いた感じがしたのは、気のせいだろう。
「ねぇ、ボート乗ろうよ!」
麗が既に管理人の人にフリーパスを見せており、じれったそうに口を尖らせていた。
明衣はチラッと楡を見た。
楡は特に焦ったりした様子もなく、ただ溜息と共に、「わかったよ」とだけ言った。
楡は係員に荷物を預け、明衣の背中を追った。
さっき握られていた手は、彼女の指の跡が微かに残っていた。