a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


***


「楽しかった!今日はありがとう」


帰りの車の中で、麗は満面の笑みで言った。

アヒルさんボートに乗った後、たかがボートで酔った明衣は、結局麗に引きずられるようにしてその後のアトラクションに乗った。

明衣以外の本郷、五月女、華、麗は見事全てのアトラクションを制覇したらしい。


「あはは…どういたしまして…」


車の中は、行きの時よりも混んでいた。

それもそのはず、麗がゴリラグッズを買い占め、それを車内に持ち込んだためだ。

後部座席の両端に座る明衣と本郷は車窓に張りつくように座っており、何を話し掛けられても苦笑しか出ない。

薄暗くなり始めた山道の景色は、特に面白いわけでもなく、自分の吐息で曇るガラスをボーッと眺めていた。

その時、不意に楡がサイドミラーを気にし始めた。

明衣はそれに気付き、首を傾げた。


「どしたの?」


次の瞬間楡から飛び出した言葉に、全員耳を疑った。




「…高級車に尾行されてる」


「……はぁΣΣ!!!?」





< 54 / 313 >

この作品をシェア

pagetop