a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
「……あたし、この部活に向いてないと思います……特に取り柄があるわけじゃないし……今回も役に立たなかったし…」
「……明衣ちゃん……」
いつに無く暗い明衣に、五月女も本郷も何も言えなかった。
本郷が降り、五月女が降り。
車内は二人になった。
会話もなく、タイヤの回る音だけが二人の耳に響く。
月明かりが目に優しかった。
「…あの、さ」
「………え?」
不意に、珍しく楡が話し掛けてきた。
トクン、と胸が波打つような感覚を覚えながらも、明衣は普通に聞き返した。
「さっき、自分が役に立てなかったとかどうとか、言ってたろ」
「……うん。だって、今回企画したのは本郷先輩で、動物園調べたのは五月女で、チケット手配したりしてくれたのは楡で……
あたしは何も……」
抑揚の無い声で尋ねられ、明衣はしょんぼりとした声で答える。
楡はバックミラーで明衣の表情をチラッと見てから、ボソボソと口を開いた。
「役に立つとか、立たないとかって言うのは、人間に対して使う言葉じゃないと思う」
「……え?」