Magic Academy ~禁書に愛された少女~
温室に着くと、ユエがマンドレイク達に水をやっている姿が見えた。

「ユエ」

そらが声をかけると、ユエは手を止めてそばにいるルンとフギンに目をやった。

「…フギン。久しぶりじゃない」

ユエに言われてフギンは笑った。

「そう?そうでもないけど」

フギンの言葉に、ユエは少し溜息をつきながらルンの傍へと近寄った。

「…よかったね、ルン」

ルンの姿を見て、ユエは少しだけ複雑そうにほほ笑んだ。


どうしたんだろ、ユエ。


少し首を傾げてその様子を見ていたそらに気づいたユエは、手をひらひらと振りながら首を横に振った。

「別に大したことじゃないから。気にしないで」

ユエの言葉にそらは少し驚いた。


ユエってば超能力者!?


(顔に出てるだけのことだろう)

シークに言われてそらはハッとする。
そんなに顔に出やすいとは思っていなかったが、そうなんだろうかと複雑そうな顔をしていると、ユエがそらに声をかけてきた。

「なにをそんなに百面相してんのよ。気持ち悪い」

「きもっ…!?」

「シーク様と、少し話をさせてもらってもいい?」

「…?いいけど?」

首を傾げていると、ユエが少し言いにくそうな顔をしてそらを見つめてきた。

「あ…ちょっと待ってて」

ユエのその顔を見てあぁ、と気づいたそらは、あわててシークを首からはずし、ユエに渡した。
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