Magic Academy ~禁書に愛された少女~
気づけば、どこか見たことがある部屋に立っていた。

「えっ…?ここ…は」

パチンと何かにはじかれたように目の前に光と色を取り戻した。さっきまでの暗い闇はどこかに消えていた。

「気がついたかしら」

目の前の人物に、思わずそらは体をこわばらせた。その様子を見て、ふふっと笑う。

「ごめんなさいね。少々手荒かもと思ったのだけれど。彼女が一番、あなたを連れてくるには早いから」

言われて、学園長の後ろの影が小さく揺れた。

「先生の使い魔…ですか?」

聞くと、やわらかく学園長が微笑んだ。

「えぇ。あまりじっと見ないほうがいいわよ?この子、たまに顔を見せるから」

言っている意味がよくわからずに首をかしげていると、その様子を面白そうに学園長は眺めていた。

「ふふ、気にしないで。それより、今日は何をしていたの?突然きてもらってごめんなさいね」

そらは慌てて首を横にふった。

「いえ。学校の中を散歩してただけですから」

「そう?ごめんなさいね、遊んでいるところだったのに」

「いえ…」

学園長がなぜ自分を呼んだのかがわからず少し困惑した表情を浮かべた。
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