Magic Academy ~禁書に愛された少女~
「…?」

しりもちをつく覚悟でいたが、どういうわけか、痛みは無かった。
というよりも、足が地に着いていない、まるで浮かんでいるような感覚だった。

「なに?これ…」

お尻に何か棒が当たる感覚がした。手を伸ばしてみると、そこには丸い棒があった。

「わわわわ!」

急にぐんっと何かが動いた。思わずそらはその棒をしっかりと握り締める。

「…!箒!?」

建物の上の方にあった窓。
そこから差し込む、わずかな光が、そらの乗っているものを照らし出した。

「でも、私…魔法は…」

使えない。
そう、言おうとしたときだった。

「魔法はなにも、人間だけの専売特許じゃないんだぜ?」

シークが言うと、箒はさらに速度を上げて、建物の中を飛び回った。

「も、もしかして…ここ、体育館?」

あまりのスピードの速さに、そらはかくかくと体を揺らしながら呟いた。

「そうだ。体育館の箒だな」

シークは楽しそうな声で言った。

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