Magic Academy ~禁書に愛された少女~
シークを身に着けて、温室を出た。外はすでに日も沈んで真っ暗だった。

「さてと。今日はどこまで不思議探検するのかなぁ…」

そらが呟くと、シークは小さく揺れた。

「急ごうか」

そう言って、そらが走ろうとしたとき、声をかけられた。

「そら、ちょっといいかい?」

声の主はオリゼだった。

「…なんでしょうか?」

そらが立ち止まると、オリゼが近づいてきた。

「いや、学校にはもう、慣れたかなと思って」

オリゼに言われて、そらは首をかしげながら、はぁ、と頷いた。オリゼは苦笑しながら続けた。

「そういえば、実技の方はどうだい?少しは上達したかな?」

オリゼの一言に、そらはうっとつまった。

「まぁ…ぼちぼちと…」

ふっと視線をそらし、地面を見た。
アイテム作製は、シークの助言のおかげで、前に比べて、作れるものが増えてきた。が、実際に魔法を使うとなると、からっきしなのだ。
そんな様子のそらの肩を、オリゼはぽんぽんと叩いた。

「まぁ、そう気を落とさないで。そらのアイテム作製に関しては、セレビシエ先生も、ものすごく褒めていましたよ?」

複雑そうな表情をするそらの頭を、オリゼは優しく撫でた。

「そらにはきっと、何かあるのかもしれませんね」

オリゼの言葉を聞いて、そらはちらっとオリゼの方を向いた。オリゼはにこっと笑っていたが、なんとなく、その笑顔が怖く感じられた。
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