Magic Academy ~禁書に愛された少女~
深く、吸い込まれそう。
綺麗な目。まるでルビーみたい。

じっと顔を見つめてくるそらを、少年は怪訝そうな顔で睨みつける。

「なんだ、いったい」

「綺麗だなって、思って」

聞かれて思わずするっと口がすべる。そらが、あっと、苦笑いを浮かべると。綺麗な顔が、眉をひくつかせながら近寄ってきた。


あぁ…地雷踏んだ…


「ごめんなさい!」

ぱん!と両手を顔の前で合わせて拝むように謝るそら。少年は少しの間の後、ぷっと吹き出すと、腹を抱えて笑った。

「なにそんなに焦ってんだよ」

ひーひー笑う少年。少しだけ、そらはむっとした。

「…なによ。そう言う風に言われるの、嫌だったかなって思ったから、謝ったのに」

ぷいっと顔を背けて、そらはすたすたと歩き出した。

「おい、どこ行くつもりだ?」

聞かれるが、しらんぷりのまま、無視して歩き続ける。

「アブねーぞ!」

言われた瞬間、水面を、まるで地面のようにすすっとあるいていたそらの足元が、急に液体としての本来の姿を取り戻した。

そして、当然。

そらは海の中にぼちゃんと落ちた。
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