Magic Academy ~禁書に愛された少女~
「では最後に。みんなもきっと、一番気になっていると思われる、特別寮生の発表を行います」

「やった!私、入れるかな!」

「くー、待ってました!」

教室中がざわめく。
この特別寮生というのは、入試同様、アマダスに選ばれた、入寮を許可された特別寮に入れる生徒のことだ。
寮は大きく3つに分かれていて、一般の女子寮と男子寮、そして特別寮となっている。特別寮に関しては、一般寮に比べて、入寮者の数がかなり少ないことから、男女同じ寮を使用する。


思い出した。
確か、特別寮の名前がヴァルホルだ。


特別寮なんて、夢のまた夢だと思っていたから、入学案内でもほとんど目を通していなかったから、その事自体忘れていた。

アッシュの言っていたことはこの事かと思いながらも、なおさら自分はないな、と思いながら、オリゼをぼんやりと見つめる。

オリゼは簡単な寮の説明の後、楽しそうに2枚の紙を取り出した。

「さて、では発表します。このクラスからは、2名です」

入学試験の合否発表よりも緊迫した空気がクラス中に流れていた。

「えー、まず1人目は、うみ。君だ」

オリゼに名前を呼ばれて、ガッツポーズをとるうみ。

「っしゃー!」

少し羨ましいと思った。なにせ、特別寮に入れば、寮費はタダになるからだ。


かかるお金は少しでも少ないほうがいいもんね…


いいなぁ、と呟くと、オリゼが2人目を発表した。

「えー、2人目は…そら、君だね」

「はへ!?」

呼ばれることはないと思っていたせいか、変な返事になった。クラスメイトの数名がくすくすと笑った。

「2人は今から寮へ案内するのでついてきてください。それでは、今日は解散」

そういうと、ばたばたと皆が席を立ち始めた。

「よかったな、そら!」

うしろからうみが声をかけてきた。周りにいた生徒たちも、いいなぁ~!といいながら、頑張って!と声をかけて帰っていった。

「なんで、私選ばれたんだろ」

複雑そうな顔を浮かべるそらに、うみは、さぁ?と肩をすくめた。

「まぁでもいいじゃん。入れるてっことで」

そう言うと、いくぞ!といって、手を引っ張ってきた。こけそうになりながらも、うみについていった。
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