禁じられた遊び

桃香Side③

昨日の数学の時間でやった小テストが、手元に返ってきた

テストの点数を見て、あたしはがっくりと肩を落とした

今までに見たことのない数字…というべきか

まあ、こんなもん?って気もするけど

『15点』って

昨日のテスト
全然わからなかったもんなぁ

中学までの知識しかあたしにはないし

一昨日、昨日と授業を受けたけど、どの科目も先生に言っている言葉がさっぱり理解できなかったよ

英語以外の授業は、先生だって日本語を話しているはずなのに
まるで外国の言葉みたいに感じた

何を言っているのか
全然わからなくて……とりあえず、黒板に書いてあるモノをノートに書き写したけど、理解なんてできなかった

「なあ、どうだった?」

あたしの前の席に腰をおろした克波さんが、声をかけてきた

え?

そこ、違う人の席なんだけど…

克波さんが座った席の人が戻ってくると、困った顔をして足を止めた

「ああ、俺の席、使っていいから」

克波さんが、呆然と立っているクラスメートに自分の席を指さして教えた

クラスメートの男子は「あ…ああ」って頷くと、克波さんの席に向かった

「いいの?」

「別に席なんてどこに座ったって一緒だろ?」

「まあ…そうだけど」

いいのかな?

先生の許可はいらないの?

怒られない?

あたしの手にあるテスト用紙が、克波さんの手へとうつった

「ちょ……」

見ないでよ!

「ああ?」

克波さんの目が大きく開いた

「見事な……ある意味、素晴らしいテスト用紙だ」

克波さんが感心した声をあげた

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