禁じられた遊び
「そ…そう?」

「正真正銘の馬鹿だったとは……」

だってわからないんだもん

「克波さんこそ!」

「ほれ」

克波さんが答案用紙をあたしに見せてくれた

す…すごっ……全問正解だ

100点だよ

丸ばっかりだぁ

「すごぉい」

「俺はお前のほうが凄いとおもうぞ
ここまで真剣に間違えられるヤツを見たことがない」

「難しいんだもん」

「難しい? どこが?」

「全部が
ねえ、答案用紙、交換しない?」

「しねえよ…てか、交換してどうすんだよ」

「ママに見せるの
こっちのは…見せにくいでしょ?」

克波さんが呆れた顔をした

「交換してどうすんだよ
通知表を見れば、桃の成績がバレるだろ」

「そっか」

あたしの15点のテスト用紙が手元に戻ってきた

「教えてやろうか?」

「え?」

「勉強」

「いいの?」

「ああ
そのかわり、桃の部屋、俺に貸せ」

「はあ?」

「俺、家に帰れねえだろ?
オヤジに追い出されたわけだし…だからさ
勉強を教えるから、寝泊りする部屋を俺に提供しろ
これでギブ・アンド・テイクだ」

克波さんがにっこりと笑う

爽やかすぎるほど、爽やかな笑顔だった

う~ん、勝手に決めちゃってお義父さん、怒らないかな?

「それにさ
俺が、桃の部屋にいれば、良太郎から守れるだろ?」

「え? そこまで考えてくれたの?」

「いや…今、思いついた」

「あ…そう」


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