禁じられた遊び
「小花が俺の恋人だったら、無料でも構わねえけど…
小花は克波と付き合うだろうからな
無料で仕事をする必要はねえ
遠慮なく金を貰う」

「はあ?」

あたしは首を捻ると、車を発進させたテツさんを見つめた

「きちんと説明してあげたらいかがですか?」

テツさんが、勇人さんに向かって言葉を投げた

「面倒くせえ
勝手に理解しろ」

え?

勝手に…って無理があると思うんですけど

「まあ、簡単にいえば『脅し』ですかね」

「え? いいんですか?」

「良くない行為と言えば、良くない部類に入っちゃうのかな?
僕らは別に悪い行為だとは思ってないけど」

テツさんがくすくすと肩を揺らして笑った

あたしは良太郎の上に乗って、ナイフをちらつかせていたテツさんの姿を思い出した

「金のある奴らからしか金をとらねーよ
悪どいことをして、利益を得ようとするから、いけねえんだよ」

勇人さんが長い足を組んだ

「金持ちの理由って……」

「これは俺の趣味だ
父親は全く違う仕事をしている」

「…良かった」

「ああ?」

「いえ…別に
今回のって…誰かに依頼されたりしてたんですか?」

「趣味でも守秘義務はある」

だよね

…簡単に言わないよね

「いつから守秘義務なんて…あるのかな?」

テツが笑っている

「今回の依頼者は勇人様自身だよ」

テツさんが教えてくれた

「違う
俺じゃねえ、貴美恵だ」

「またまた…そうやって誤魔化すんだから」

「誤魔化してねえよ」

「じゃ、貴美恵にお金を請求するの?」

「しねえ」

テツさんの追及に、どんどんと勇人さんの声が小さくなっていった
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