禁じられた遊び
もしかして、小花さんと作ったクッキーのこと……気にしてくれてたのかな?

「小花さんのじゃなくていいんですか?」

「小花は俺を見てねえから」

ぼそっと小さい声で、勇人さんが呟いた

すごく寂しそうに、窓の外を見つめている

勇人さんも傷ついてる

心を痛めているんだね

「てっきりプロポーズかと思いましたよ」

テツさんが明るい空気を持ち込んだ

勇人さんの気持ちがわかっているのかな?

きっと血が半分しか繋がってなくても、兄弟だもんね

「なんで俺が会って数日しか経ってねえ女と結婚しなきゃいけねえんだよ」

「日数なんて関係ないんじゃないですか?
一緒に居たいって思えば、会った初日だろうが、出会って何年も過ぎていようが
関係ないでしょう」

「テツに言われたくねえ」

「まあまあ」

バックミラー越しにテツさんの顔を見た

苦笑いをしている

貴美恵さんと、出会ってすぐに付き合ったのだろうか?

テツさんと貴美恵さんってどんな出会い方をしたのかな?

人目も気にしないで、キスする二人はとても格好良く見えた

深く愛し合っているように見えたよ

羨ましいなあ

あたしも、いつかはそういう人に出会えるのかな?

深く愛し合える人と巡り合えるのかな?

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