禁じられた遊び
ごめんね、克波……

私は携帯の電源を落とした

せっかくのチャンスだから、逃したくないの

私は携帯を鞄の中にしまった

「切ったか?」

「はい」

「そうか」

克海の手が私の肩にいった

ぐいっとさらに身体を密着させると、克海は鼻歌を歌い始めた

「九条様、ご用意できました」

小さな箱に入って香水が運ばれてきた

「じゃ、これで足りるな?
釣りはいらないから」

万札の束を、ガラスケースの上にぼさっと投げると箱を手に取った

「ほら、すぐにつけろ」

克海が私の手に、箱を乗せた

私は車に向かいながら、箱を開けると小瓶に入っている香水を首につけた

……お母さん

お母さんの匂いがする

同じ匂い


お母さんの匂いは九条によって作られた匂いだったんだ

なんか悔しい

お母さん自身の匂いは?

どこにいっちゃったのかな?

私の知っているお母さんの匂いがわからない

小瓶を鞄の中に入れると、箱を克海に渡した

「これはいらない」

「ゴミか。処分しておけ」

克海はボディガードに、空箱を投げつけた

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