禁じられた遊び
「良かった
小花がまた部屋にいて」

克波が優しく微笑んで、生徒会室の扉をゆっくりと閉めた

「さっき廊下でさ
勇人さんとすれ違ったから、もしかして小花は帰っちゃったかと焦ったよ」

「な…んで」

どうしてここにいるのよ

桃香ちゃんを送るって言ってたじゃないの

私より、桃香ちゃんがいいくせに

どうして戻ってくるのよ

私は、克波から視線をそらすと、机を見つめた

「そ…そうよ、もう帰るところよ!
克波は何?
忘れ物?」

馬鹿みたい

何で、強がってるのよ

「忘れ物って言えば、忘れ物かなあ」

克波が部屋の奥に入ってくる

私の後ろに立つと、うしろからそっと抱きしめてくれた

「何しているのよ!
桃香ちゃんに怒られるわよ」

「あいつは怒らねえよ」

なに、それ……

どういう意味よ

もう二人は付き合ってるってわけ?

一緒に1限をさぼって

そういう関係になったとでも言うの?

桃香ちゃんは純情な子よ

克波みたいな男は似合わない

「なあ、オヤジといくらで契約したの?」

克波の熱い息が耳にかかる

それだけで私の体の芯が、疼いた

「30万」

「じゃ、俺、40万出すよ」

「馬鹿じゃないの?」

「うん、わかってる
俺ら、馬鹿だから」

『俺ら』って……桃香ちゃんと克波ってこと?
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