おいしい紅茶を飲む前に
 フレディは視線をカップの中の液体に落として、答えを返す。


「わかりました。おばさま」

 ほぼ脅しに近い夫人の言葉に、彼は決死の覚悟で、確実に苦手な何かに近付いていこうとしている、らしい。

二人の間に席を置きながらも、くるみくるみと嬉しそうに唱えるだけでまったく空気から浮いているシェリルが、なんだかとても、……かわいらしく思える夜だった。

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