おいしい紅茶を飲む前に
「自分の幸運は信じているんだ」

 信じてすべてが望み通りになるのなら、こんなに簡単なことはない。
だがフレディは意義を申し立てることはせずに、リチャードの肩に手をのせた。

見事だったのは、自分ではなく彼の方だ。
こんな状況の中で、かくも見事に彼女を守ってくれた。


「リチャード、お願い。お怪我はありませんかって訊いてみて」

 王子の目を隠していた布を解こうと努力をしながら、メアリーアンはそんなことを言った。

リチャードに突き飛ばされて床にひざまずいた後、いったい彼女はどこを見ていたのだろう? 

ただ王子に夢中? 
入ってきた人間にも気付かないほど?
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