おいしい紅茶を飲む前に
 リチャードを実業家タイプだなどと、二度と言わない。こんな実業家はいやしない。

まったく自分の人を見る目に、あきれ返ってしまう。
彼は明らかに、……なにやら怪しげな職業に就いたタイプに他ならない。


 警察らしき団体が入ってきて、リーダーは厳重に取り押さえられた。

捕らえられた男は、終わってみればそんな人間には見えない。

凶悪な行動をとりそうな人には、それなりの容貌、せめて雰囲気くらいは身につけていただきたいものだ。


 腕を下ろした、リチャードの方も。


「見事だった、フレディ。君みたいな人間がひとりいると、僕も安心して動くことができる。期待以上だったよ」

「無茶だよ、リチャード。君の考えることはいつでも無謀すぎる」
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