おれの恋


一方的に電話を切り、枕に顔を埋(うず)める。



ふと、《俺、大丈夫なんだか…?》って思った…

女々しい事に…空の顔を見たら、泣いてまいそうやし…


まぁ、大丈夫にするしかないんやけどな。


『は〜ぁ…。』


最近、心なしか忙しくて
ゆっくり溜め息をつく時間もなかった。


慌ただしく過ぎる毎日の中で、空への連絡も滞ってた…。


学校にバイトに、結婚式の招待状リストを作ったり…衣装選びに付き合わされたり。


俺の体は、ひとつしかないんや!!って、大声で叫びたくなった事もしばしば…。



『式か……』


まさか、結婚式なんてすると思ってなかった俺…。


茜との結婚を決めてから少しした頃…

バイトが終わり、家に帰ると…リビングで何やら楽しそうに笑ってるオカンと茜が目に入った。

何してんねやろ?と思い近寄ると…テーブルの上に、雑誌があり

《また通販か〜》って思いながら、目を凝らしてみたら…


"結婚情報誌"


『えぇ!!ま…さか…結婚式するん…?』

恐る恐る、二人に聞いてみたら


オ「当たり前じゃない!何、寝ぼけたこと言ってんの!」


茜「父が、どうしてもって…」

申し訳なさそう言うけど、顔が真っ赤なのは何で…?



それより、わざわざ式なんてせんで良くね!?
は…恥ずかしい…。


オ「楽しみね〜♪」


茜「はい!!」


結局、楽しみなんじゃねえかよ…



『何でもええけど…そう言う話は女同士で勝手に決めてくれよ?俺、ノータッチで。』


こう言った俺の事は無視で、目の前の情報誌に夢中な…オカンと茜。



(空が…ドレス着たら、綺麗やろな…。)






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