共鳴り
トイレで手を洗うと、蛇口から垂れ流される水が赤く染まりながら、排水溝に吸い込まれていく。


そのまま鏡で自分の顔を見ると、ひどすぎてちょっと笑った。


こんな顔してたら、アイツが起きたら笑いながら怒られるやろうな、って思ったから。


ちょっとだけ、気持ちが落ち着いた。


息を吐き、トイレから出るとそこには、ハンカチを差し出して佇む彼女の姿。



「レイコさん?!」


聞いて、急いできたの、と彼女は言う。


ホンマ、問題事が嫌いで、他人は他人、のレイコさんやのに、って。



「みんな向こうにおるで?」


「アンタの心配してるからここに居るんでしょ?」


さすがに驚いた。


レイコさんは、何より嶋さんの心配をすると思ってたから。



「…何で俺なん?」


「嶋さんは無事だって聞いたから良いの。
ジルくんはあたしにはどうすることも出来ないし、問題は銀二でしょ?」


「…どうにか出来たらしてやるつもりやったん?」


意地悪く聞くと、彼女は俺から視線を外した。



「あたしはもう帰るのよ。」


「…何で?」


「組のトラブルなんか関係ないし、女に心配されてる姿なんか格好がつかないじゃない。」


ふうん、と俺は言う。


結局この人、嶋さんの立場とかちゃんと考えてるんやろうなぁ、って。

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