国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
祭祀王--それは、年に一度、ウェスタ神殿で豊穣を祈って行われる例祭において、
神に祈りの言葉と舞を捧げる巫女のことで、
必ず、新人巫女あるいは新人神官の中からたった一人が選ばれる、名誉ある役目であった。
去年の祭祀王は、シギネアであり、今年の祭祀王は当然のようにレアが選ばれた。
レアは、毎日ウルウにその特別な祝詞(のりと)と舞を教わっているのだった。
以前、王に食事を振舞われたとき、レアは自分が正式に祭祀王に決まったことを告げられ、
ウルウが言っていた大事な用というのがそのことだったのだと、レアは後になって気付いた。
「お前の舞は、さぞや美しいのだろうな。この黒髪が、映えて」
マルスはレアの長い黒髪を、耳元からそっと肩の後ろへと梳きやった。
その拍子に、マルスの指がレアの首筋に触れて、レアは背中にしびれるような感覚を覚えた。
「あ、あの。王宮へ戻らないと、皆が心配いたします。
あの護衛の方は、どうなさったのですか?」
今朝、食堂で自分のことを恐ろしい顔で睨んでいた、頬に傷のある兵士。
レアは、自分でもわけのわからないこの感覚を、マルスに気づかれたくなくて、
とっさに話をそらした。