国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
護衛兵の話をしたとたん、マルスは、この世でもっともつまらない話でも聞いたかのように、唇を尖らせた。
「ホーエンのことか。あいつは、無口でつまらん男だ。
俺の後をどこまでもぴったりくっついてきて、まったく、うっとおしい!」
「でも、王をお守りするのが、お役目でしょう?」
「ふん。あんな無愛想な男。俺の周りには、本当にくだらない人間しかいない。
俺に媚をうり、何とか取り入ろうとする者か、
そうでなくば、俺を恐れ、俺の目を見ることもできず、ただ頷く者か。
ホーエンは、そのどちらでもないからそばに置いているが、
何を考えているのかちっとも分からん。いつも無表情だしな」
マルスの不機嫌な横顔を見て、レアは、マルスがあまり幸せではないのかもしれないと思った。
・・王様というのも、大変なお仕事なのかもしれないわ。
レアは、この国でもっとも裕福で権力を持っているはずのマルスが、酷く孤独に見えた。
王の心にそってやれるものが、彼の近くにはいないのだろうか。
だがそれの意味することは・・。
「マルス王。人というのは、自分を映す鏡でございます」
突然のレアの言葉に、マルスは目を瞬かせた。