国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
部屋の中は、しんとしていて、ディスコルディアは足音をさせないようにマルスの姿をさがした。
・・まぁ、お兄様ったら。机の上で寝ておいでなんて。
整った眉毛に、筋の通った鼻。男性とは思えないほどびっしりと長いまつげが、目元を覆っている。
めったに見ない、マルスの寝顔を見て、ディスコルディアは、自然と笑顔になった。
・・お兄様・・・。
ディスコルディアは、きょろきょろと室内を見渡して、誰もいないのを確認すると、
マルスの頬に、ゆっくりと自分の唇を近づけた。
その時、
「ん、・・レア」
あと、ほんのわずかで唇が触れる距離で、ディスコルディアは、びくりと固まった。
・・今、レアっておっしゃった?
こもった声で、聞き取りにくかったが、マルスは確かにレアと呼んだような気がする。
ディスコルディアの鼓動が、急にドキドキと早鐘を打ち始めた。
・・レア。レア・・。知っている名前だわ。
そうだ!あの、祭祀王を務めた巫女の名前だ!
そういえば、あの時、マルスは祭祀王の舞台を食い入るように見つめていた。
ディスコルディアは、苦しくなるばかりの胸を押さえて、瞳を揺らした。