国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
男は、マリカのすぐ脇にしゃがんで、手燭を地面に置いた。
どうやらマリカは転んで怪我をしたらしく、顔も体も土まみれだ。
「ラウススさん?」
心配そうに自分に寄り添う男の顔を、マリカもまた、はっきりと覚えていた。
「どうして、こんなところに?」
マリカは体を起こしながら、周囲に気を配った。レアの兄は、釈放されて、故郷へ帰ったはずだ。
もしも、こんな夜に、神殿の周りをうろうろしていたことがばれれば、今度こそ罰を受けることになるだろう。
しかし、ラウススは、慌てることもなく、自分の後ろにある荷車と、神殿の入り口に積み上げた荷物を顎で指した。
「ほら、あれだよ」
「あれは・・注文した塩や油?」
ラウススが指す先は、商人が荷を置くために指定された場所で、その前に整然と包みが並べられている。
その時々に神殿で必要なものは、長年神殿に品物を納めてきた商人が注文を受け、配送をしていた。
ウェスタの巫女たちと会うことを避けるために、一般の通路とは別の入り口が設けてあり、
そこに荷物だけを並べておいて、翌朝それを巫女見習いが回収するような仕組みになっている。
どうやらラウススは、その品を配送してきたようだった。