国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

アニウスは、天井を向いているマルスの顔を横から覗きこむような姿勢になると、

おおげさに眉尻を下げて、ねだるような顔つきを作った。


「私にも娘がおります。丹精込めて育て上げた自慢の娘でございます」


マルスは瞳を閉じたまま、放り出した長い足を組み、無視を決め込んでいる。

アニウスはかまわず先を続けた。


「貴族の娘は甘やかされて育ちますが、我が娘、シギネアは違います。

去年、ウェスタ神殿に入り、上級神官としてのお役目を立派に果たしております。

あの娘ならば、王の妃として、誰もが認める国母となりましょう」


「シギネア・・・?」


「王にも何度か会ったことがございます。戴冠式のおりにも、お祝いを述べさせていただきました」


マルスがわずかに反応を見せたので、アニウスはまんざらでもないと、相好を崩した。



・・あの、馬鹿女か。



マルスには、王宮で会ったシギネアの印象などまったくといっていいほど残ってはいなかった。

あるのは、神殿でレアとともに粗末な食事を食べたときの、

歪んだ誇りをもった神官の女、くらいの認識だ。



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