国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
マルスは、自分が軽蔑する種類の女を、自慢の娘と評して自分の妃にしようとするアニウスを、心の中でさげすんだ。
しかし、ひょっとすると、彼らは自分に良く似ているのかもしれない、とも思った。
そう--、ほんの少し前までの自分と。
他人のことなど考えもせず、楽しければそれでよいとばかりに、やりたい放題だった自分。
ただ私利私欲のみに目を奪われ、なんとかして権力を独り占めしようと画策する伯父の姿と、大差はないように思えた。
・・やはり、血は争えん、ということか?
まるで、鏡を見ているかのようだ、とマルスは自嘲した。
長いすから起き上がり、姿勢を正す。
「伯父上」
「ははぁっ!」
アニウス大臣ではなく、“伯父上”と呼ばれ、アニウスは、してやったり、と垂れたこうべの下でほくそえむ。
が、マルスの返事は、アニウスの予想を裏切るどころか、寝耳に水の、それだった。
「私を王につけ、後見役として力を尽くしていただき、まことに感謝している。
だが、言われる通り、確かに私も、今年で二十歳。
そろそろ後見役として伯父上に頼らずとも、政務を行わねばなるまい。
明日、後見役の任を解くことを、皆の前で宣言しよう。
これからは、一大臣として、私を支えてください」